4.叫び


 舟を漕ぎ続けてどのくらい経つだろう。
定かではないが、私には途方もなく長い時間が流れたように感じられる。

   その間、三度大きな船が近くを通り過ぎていった。

無論三度が三度とも、めいいっぱい大きな声で助けを呼んだ。
一度目は、これで助かったという安堵の思いで。
二度目は、今度こそはという期待と、もしもという不安の交錯で。
そして三度目は、頼むから止まってくれという悲痛な心の叫びで。
だがそのいずれもが、無慈悲に白海に響いただけだった。

それから程無くして、私は再び意識を失った。
今度は絶望に打ちひしがれて。


  白い海を漂う一隻の小舟。
やがて子舟は荒波に飲み込まれ、
世界は灰色から暗闇へと変わった―――。



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