3.黒色の太陽


 黒の太陽がジリジリと照りつける。
悪夢に魘されていた訳でも、誰かに叩き起こされた訳でもないが、
目覚めの悪さに頭が朦朧とする。
しかし今置かれている状況を頭が認識したとき、
私はこれまでのことを全て思い出した。

 ただ気分は幾らか穏やかだった。

――というのも、気を失う以前に私を苛んでいた、
恐怖や不安、孤独感は無く、
空腹や眠気といった身体的疲労さえも、
燃してしまったが如く消えていたからだ。
まだ何かモヤモヤとした蟠りは残っていたが、
妙な爽快感が私を取り巻いていた。

それはそうと、未だこの状況が私に取って好ましいはずもなく、
むしろ最悪に近いそれと言えるが、
兎にも角にもこの白海を抜け、岸を目指すことに思考を傾けた。

たまたま側を浮いていた容の良い流木を手に、
もしかしたら運良く他の船が拾ってくれるかもしれないという
淡い期待を抱きつつ小舟を漕いだ。
どちらが岸かもわからぬまま。

 黒い太陽が私に照りつける。
不思議な霧は未だ濃く、私と小舟を覆っている。



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