イルディン神教典


汝の前には長き険しい道がある。
汝は此処を歩き続けねばならぬ。
さあ、その足を踏み出せ。
恐れるな。
道の先を見据えるのだ。
留まることは時の理を破ることの意味を成す。
振り返ること無く、歩みを止めること無く、歩き続けるが良い。

いずれ、汝の進む道は幾多にも分かれるだろう。
しかし、其れは汝が其れまで歩んできた道にて得た物による産物である。

汝よ、其処から進むべき道はどれか一つだ。
正しき道を選んだ時、汝は報われる。

自らを信じよ。
さすれば、道は自ずから汝を誘うだろう。

イルディン神教典 第68章12節




「善」か「悪」か。
「生」か「死」か。
「正義」か「背徳」か。
「追う者」か「追われる者」か。
「光」か「闇」か。
大いなる神が与え給うた、2つの「存在」。
人間は、心の中でその2つを抱き、葛藤する。
時に理性を強め、時に理性の鎖を解き放つ。
時に従い、時に苦悶する。
苦悩の末、選んだ道は何であろうとも、
後悔は許されない。
やがて選んだ道に殉じた時。
それが「運命」となる。

イルディン神教典 第71章冒頭より抜粋




(C)Toshiya Orikura